台湾の建築めぐり!/おすすめ有名建築一覧【8選】|Taiwan Architecture Guide

台北パフォーミングアーツセンター

歪んで見える外の風景 外の風景が生中継された巨大な絵画にも見える

基本情報

所在地No. 1號, Jiantan Rd, Shilin District, Taipei City, 台湾 111
アクセス地下鉄淡水線「剣潭」駅下車すぐ
開館日水曜~日曜
開館時間14:00~17:00(最終入場16:15)
見学方法見学ツアーの詳細はこちらからご確認ください
※団体での訪問は要事前メール
HPhttps://tpac.org.taipei/en

設計者

OMA

建築概要

「台北パフォーミングアーツセンター」はOMAの設計により2022年5月に竣工しました。建物は鉄骨造で、球状の800席の「グローブ・プレイハウス」、1,500席の「グランド・シアター」、800席の「ブルー・ボックス」の3つのホールを有しており、3つのホールのヴォリュームが中央の四角いガラスの直方体に差し込まれたかのような外観が特徴です。

OMAのレム・コールハースは「ジェネリックシティ」という言葉を用いて、現代の都市に溢れかえるいわゆる”空間のアイデンティティの喪失”について言及しています。特にコールハースは、ジェネリック・シティの最も特徴的な単一要素として挙げる空港にその多くを見ることができるといいます。

つまり空港のような平凡な空間が現代都市、特に東南アジアの新興国の都市を大量に埋め尽くしています。本建築は、現代のジェネリックシティの流れの中で、空港のような平凡な空間をデザインの地として、そこにパッチワークのように仕上げ材を図として扱う意匠デザインとすることで、ジェネリックシティにおける新しい可能性を模索した建築となっています。詳しくは下記リンクからアクセスしてください。

https://jpn-architecture.com/prefectures/taiwan/taipei-oma

國立政治大學 達賢圖書館

設計者

ジェイ・チウ(邱文傑)

建築概要

国立政治大学の達賢図書館としてジェイ・チウの設計により2019年に竣工しました。建物の最大の特徴は構造体です。地下2階〜1階は通常の現場で流し込む在来鉄筋コンクリート造ですが、1階〜8階はあらかじめ工場で製造して組み立てた柱・梁のプレキャストコンクリートのパーツを現場で組み立てる工法が採用されました。これにより規模的に通常4年かかる工期を2年に短縮可能となりました。

これを可能にしたのはBIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)です。従来のCAD(コンピューター・エイデッド・デザイン)や3Dモデリングは、コンピューター上に図面の描写やパースの表現が可能となり、手書きでの図面や模型制作の圧倒的な手間を省くことに貢献しています。しかしそれらは手書きの図面やパース同様、視覚的な情報に過ぎず、設計者が製作した図面、パースをもとに、構造家、設備家、施工者が、それぞれ構造・設備設計と計算と施工図、見積もり、施工計画を製作します。BIMはそれら建物に係る設計者、構造家、設備家、施工者間のやりとりの手間を省くツールとして、徐々に建設業階に普及し始めています。

BIMは従来の3Dモデリングとは異なり、視覚的な情報だけでなく、コンピューター上に柱や梁、壁、床、窓、設備、内装材、家具といった使う部材の情報が全て紐づけられています。情報というのは強度といった構造計算に関わる情報、照度・耐火性能・天空率・容積などといった法規の検証、部材ごとの単価・数量といった見積もりに関わる情報、部材の大きさなどパーツの搬入・工期に関わる情報などが3D上の部材ひとつひとつに紐づいています。それらがひとつのクラウド内で共有されるので、例えば設計者が意匠的に部材を変更すると瞬時にそれらの情報が関係者に反映されるので、従来の専門家間の圧倒的なやり取りの手間を省いています。

実際に達賢図書館では空調学と、電気配線、スプリンクラー、シャッターが内部意匠として美しく収まっているのは、BIMによる検証の賜物と言えるでしょう。従来の2次元の図面では、コンクリートの梁、構造鉄骨、巨大な空調ダクト、電気の配線管などが、天井裏や壁の中で「お互いにぶつかってしまう(干渉する)」ミスが現場で発覚することがよくありました。また分野ごとに設計が縦割りになっているため、巨大建築では設備類の収まりがのちの変更・追加により、当初意匠的に想定していないダクト壁や壁のふかしの出現が空間の美しさを損ねていました。

達賢図書館ではプレキャストのコンクリートの柱・梁、あらわしのデッキプレートと設備ダクトの意匠は巨大建築では複雑になり、視覚的に汚くなる問題を見事にBIMで解決しています。

巨大建築で起こりがちな複雑な配管・シャッターの複雑な表しの意匠が綺麗に解決されている 防火のシャッターボック・桟は柱梁に見事に同化している

8層の巨大な吹き抜けを中心に段々畑状に閲覧エリアが積み重なっています。また基準階の断面が吹き抜けから見渡すことができ、建物の内部構成が一瞬でわかる意匠になっています。

「守られたプライベート感」と「圧倒的な開放感」が完璧なバランスで共存しているため、非常に居心地が良く、作業に没頭できる寸法体系(スケール)になっているのです。

閲覧席にいる人も身近な家具や本棚キャットウォークのスケールが小さく設計されていたり、基準階の人も吹き抜けを見通すできるようになっているので、身の回りは親しみのあるスケールのインテリアに対して、視覚的に壮大な空間が広がることで、大学という図書館でありながら、不特定多数の空間の中で過ごしている感覚になり、図書館として集中しやすい寸法体系(スケール)になっている点が賞賛に値する点です。

各テラスの書棚の足元や手すりの下部に間接照明が綺麗に埋め込まれており、天井に無骨な配線や器具が露出していない

宜蘭縣庁舎(宜蘭縣政大樓)

台湾の土着的な風合いを表現した建築意匠と中庭の池に面した廊下  ロマネスク教会の中庭にも見える

設計者

象設計集団

建築概要

宜蘭縣庁舎は象設計集団の設計により1997年に竣工しました。台湾の北西に位置する宜蘭縣の庁舎として、地上4階、地下1階建の鉄筋コンクリート造の建物になっています。

この建物の特徴は建築計画です。基本的に全フロア片廊下型でプランニングされていますが、廊下は屋外になっています。つまりある部署から他へ移動するためには、一旦屋外の廊下を経て移動しなければなりません。しかし台湾は6月〜9月の夏を除いて残りの8ヶ月ほど日本の中間期にあたる快適な気温が続きます。実際に県民が訪れる窓口は、常に屋外に開けられた木製の引き戸になっており、まるで街路に面した家の玄関を跨ぐかのような光景が広がっているのがおもしろいです。台湾ならではの光景を生み出しています。

外廊下と窓口 街路に面した家の玄関のようである 外装と内装のギャップをプランの図式化によって解決している

同時に建築のデザイン上、屋外片廊下は都合よく機能しています。象設計集団ならではの土着的でローカルな風合いの素材(批判的地域主義)の意匠が、廊下に屋外の仕上げとして表現されています。それによって建物の外壁仕上げと、半屋外の廊下のデザインが連続することで、一体感のあるデザインを可能にしています。すなわち廊下(屋外)と執務室(屋内)で図式化されたプランニングにより、来訪者が訪れる廊下は力強い土着的な空間の一方、職員が使う空間は快適に働くための、現代的で機能的なオフィスとなっており、外観と内装のギャップを屋外の廊下が緩衝地帯となって緩やかに繋いでいます。(同設計事務所設計の名護市庁舎(沖縄県)は外観は派手な一方、一歩中に入ると普通のオフィス空間になってしまっている、という課題がありました))。台湾の気候が可能にした、ここでしかみられない魅力的な空間が広がっています。

台中市立美術館(台中緑中図)

外の公園の空気をエキスパンションによってキャプチャーすることで、周囲の公園とは異質な屋外ピロティ・展示空間を作り出している
ミュージアムロビーもエキスパンションに覆われた6層の吹き抜けになっている。

設計者

SNAA

建築概要

台中市美術館はSANAAの設計により2025年12月に開館しました。図書館、美術館の8つの建物がバラバラに配置され、建物同士は建物の角で繋がることで、分棟のような建物を行き来している感覚になります。

1階は主にピロティとなっており、公園と一体となった計画になっています。中でも1階「メインロビー」は展示空間ですが、エキスパンションで覆われた屋外の空間になっています。まるでエキスパンションによって公園の空気をキャプチャーしたかのような、異質な空気のボリュームが設計されているかのようです。というのもエキスパンションによって外の景色がぼやけ、周りの公園とは異質な空間となっていますが、実際には外の空気や音が流れ込み、屋内なのか屋外なのか、錯覚してしまいます。公園に突如現れた空気の立体の中には、実際に無料で誰でも入れるので、展示空間なのか、はたまた公園の延長線上にある空間なのか、どっちつかずの空間が、展示・ピロティ空間の双方にとって今までなかった空間といえます。この違和感は設計者にとって本望であることは間違いないでしょう。

921地震教育博物館

設計者

ジェイ・チウ・アーキテクツ

建築概要

921地震教育博物館は1999年に発生したM7.3の921大地震の建築被害と復興の記録を展示する施設として、2004年にオープンしました。その後2009年にジェイ・チウ・アーキテクツの設計により「車籠埔断層保存館」が完成し、全面的なオープンとなりました。

もともと、光復国民中学校の校舎だった建物は甚大な被害を受けました。北棟校舎は1階部分が層崩壊により潰れ建物が全体的に崩れています。校舎建築特有の片廊下型のクラスルームが繰り返しのプランになっており、教室を仕切る耐力壁が地震の揺れる方向に対して直交方向のみ(水平力が地震の揺れ方向(長手方向)に対して脆弱)だったため、1階部分が層崩壊しました。また校舎は左右両側の教室がそれぞれ異なる時期に建設されたため、地震時に脆弱な部分から崩壊しました。また新旧のそれぞれの建物の接続が地震の揺れに耐えきれずに崩壊したため、新しい部分はそのまま残っています。

北棟校舎 新旧のジョイント部分が脆弱なため、比較的古い部分のみが崩壊した

ジェイ・チウ・アーキテクツ設計の車籠埔断層保存館は、断層のズレによって当時のグラウンドが隆起した状態がそのまま残されています。グラウンドのトラックが上下左右にずれていることがよく確認できるため、断層のずれを体感することができます。

ジェイ・チウ・アーキテクツ設計の車籠埔断層保存館

建物や地面が崩壊した様子は映像では見ることはあっても、実際になかなか見ることはできません。建物が崩壊している様子は当時のすさまじさを言葉以上に私たちに語りかけ、普段当たり前のように私たちを囲む建物の建物の重みを体感することのできる、貴重な施設となっています。建築を学んでいない人でも一見の価値があります。

アクリル補強により、当時の崩壊姿に近い状態で展示

台南スプリングス

都市の中のオアシス 身体的に使いこなす子どもたち

基本情報

所在地Zhongzheng Rd., West Central Dist., Tainan City 700
アクセス「可楽広場」バス停
開放時間9:00〜22:00
閉鎖日火曜日

設計者

MVRDV

建築概要

「台南スプリング(Tainan Spring)」はオランダの建築設計事務所MVRDVの設計により2020年にオープンしました。台南市は17世紀以来水運都市として市の海運や漁業を担ってきましたが、1983年には運河に隣接する古い港に現代的なレジャーエンターテイメント施設「China-Town Mall」がオープンし、旧来の中華タウンは1990年代から活気を失っていました。

そこで市政府は2006年に周辺の都市開発計画に着手し、この場所にあった1980年代の廃墟化した中華モールは2016年に取り壊されました。しかし全て完全に壊すのではなくMVRDVは一部躯体を残しながらも、元々駐車場だった地下1階の天井を取っ払い屋外広場としました。すると周辺の街よりも1階低い開放的な屋外空間が誕生しました。中で遊んでいる子どもたちも常に上から歩道の通行人の目にさらされるため、安心して遊ぶことができ、治安の観点で合理的な設計といえます(人目のないガラガラな公園では犯罪の温床になります)。

地面を隆起させ水を張ることで、水場を生み出しています。まるで都市のヒートアイランドで逃げ場を求めるかのように、子どもたちが身体的に公園を使いこなしている様子が伺えます。また道路のブリッジを潜るようにして複数の街区にまたがっているのも魅力的な点です。減築して残された柱・梁のオブジェクトと土木構造物の柱が等価に白塗りにされることで、ブリッジを威圧的に感じないインテリアとして親しみのある空間を生み出しています。減築して広場とするような公園計画は日本にはあまりなく、まさに日本の都市計画が見習うべきプロジェクトと言えるでしょう。

https://jpn-architecture.com/prefectures/taiwan/tainanspring

高雄駅

ペデストリアンデッキ(屋根)と周囲の高密な高雄の街並み

設計者

Mecanoo(メカノー)

建築概要

高雄駅は1900年に開業しました。1941年の日本統治時代に帝冠様式駅舎が完成し、2018年の地下化により、2025年、メカノーによる新しい駅舎が完成しました。統治時代の駅舎は現在も移設され残されています。

地下のコンコースと地上のロータリーは大きな吹き抜けでつながり、その上に巨大な屋根がかけられることで、広場のような空間を生み出しています。屋根はその広場を中心に東西南北に十字状に複数の街区に跨ってかけられています。東西方向は道路を貫き、緩やかなスロープで結ばれることで、ペデストリアンデッキとして滞留できる屋上公園になっています。

広場の天高が最も高くなることで、屋根下では広場から中心に四方向に向かって伸びる雲のような天井のように見え、屋根上では高雄の高密度な街を眺める丘のようになっています。丘のてっぺんは十字路の4方向を見通せ、周囲の高密な街並みに囲まれることで、まさに自分が街の舞台の中心に立っているかのように計画されたランドスケープです。

2009高雄ワールドゲームズメインスタジアム

設計者

伊東豊雄建築設計事務所、竹中工務店、劉培森建築師事務所

建築概要

2009年7月に行われるワールドゲームズのメイン会場として、2009年に竣工しました。約40,000席を収容し、ワールドゲームズ閉幕後も、サッカー台湾代表の国際試合や、国内外のトップアーティストによる大規模な野外コンサートの会場として頻繁に利用されています。 

特徴は、スタジアムのコンコースと周囲の公園がフラットにアクセス可能な設計であることです。通常のスタジアムであれば、一般の観客のアクセスはグランドレベルよりも高いレベルからアクセスする必要が多く、階段の上り下りが発生します(試合やイベント終了時には階段で大混雑する問題があります)。これは選手や関係者、VIPなどの動線と立体交差するように交わらない設計にするためです。しかし当スタジアムは、スタジアム周囲になだらかな丘のような地形を造成することで、緩やかに周囲からアクセスが可能となり、関係者の諸室はその地中に設計されています。公園と観客席がフラットにつながることで、公園からコンコースを抜けた瞬間に視線の下に一気にトラックが広がるシークエンスを生み出しています(イベント終了時にも大勢の人が同時に退場可能で、有事の避難の際にも有効的です)。

トラスに鋼管をスパイラル状に巻きつけた構造体が用いられている

また関係者の諸室は地中に埋まっているため、地上部分に観客に関係のない部屋があまり多くでてこないで済み、純粋に観客席と観客に必要な諸室のみの計画になっています。2Fの観客席はサドルと呼ばれる打ち放しコンクリートの構造体によって支えられ、その構造体が連続することで、力強く、スタジアム建築としては極めてシンプルで清潔感のある空間になっています。

1Fコンコース 公園とフラットにアクセスが可能
「サドル」と呼ばれる構造体: 2階席を支える打ち放しコンクリートの構造体が、馬の鞍(サドル)のような形状をしています。これが連続することで、スタジアム内にリズム感と力強い美しさを生み出しています。