THE TOKYO TOILET【一覧】全部をエリア別に紹介!東京渋谷区のアートな公共トイレ

日本財団と16のクリエイターにより、東京渋谷区の17箇所に新たに公共トイレを設置する「THE TOKYO TOILET」プロジェクト。2020年8月5日に供用を開始したトイレを皮切りに、2022年までにすべてのトイレが完成する予定です。本記事では2021年8月現在の全トイレをご紹介しております。まだ完成していないトイレはオープン次第、順次更新していく予定でございます。

下の を押すとに移行します。 

京王線沿線

03 七号通り公園トイレ

左上:北側外観 浮いたような球体は直線の壁により支えられる, 浮いた壁の下に見える壁は目隠しのための腰壁 左下:多機能トイレ 球面に沿った腰壁が室内全体を貫く :男子トイレ

基本情報

所在地渋谷区幡ヶ谷2-53-5
アクセス・京王新線「幡ヶ谷駅北口」より徒歩5分
・「04 西原一丁目公園トイレ」より徒歩10分
設計者佐藤カズー / Disruption Lab Team

建築概要

七号通り公園トイレは、「七号通り公園」内に建てられました。七号通り公園は、京王新線幡ヶ谷駅から北に伸びる七号通りと西新宿交差点を起点とする東京都道431号(角筈和泉町)線が交わる、幡ヶ谷三丁目交差点の一角にあります。

建物は鉄筋コンクリート造で、直径5,625mmの球体を中心から1,572.5mmの面で切断したような外観が特徴です。その中に男子トイレ、多機能トイレ、用具庫が収められており、女子トイレはありません。球体を形づくる外壁は地面から30cm程浮いており、正面の外壁と内部の仕切り壁により支えられています。

室内は球体の面に沿って腰壁が貫いており、浮いた外壁の隙間を目隠ししています。球面と腰壁の隙間には間接照明が設けられており、その隙間を経て室内は常に外気と触れています。ぼんやりと輪郭があいまいな白い球体は、広い空の中にふんわりと浮いており、従来の近付き難い従来の公衆便所のイメージを払拭しています。

04 西原一丁目公園トイレ

左上:トイレ外観 左下:正面左側男女共用トイレ 曇りガラスに西日による植栽の影が映し出される 右上:正面中央多機能トイレ 植栽の壁画はプリントされたもの 右下:正面右側男女共用トイレ

基本情報

所在地渋谷区西原1-29-1
アクセス・京王新線「幡ヶ谷駅南口」より徒歩5分
・「03 七号通り公園トイレ」より徒歩10分
設計者坂倉建築研究所・坂倉竹之助

建築概要

西原一丁目公園トイレは「西原一丁目公園」内にあり、公園は1983年に地下化された京王線跡地の一画を利用した場所にあります。現在もその下を走る京王線の線形に沿って公園が続いており、当時の名残として公園の両脇には柵や建物が建ち並んでいます。

トイレは男女共用トイレ2室と多機能トイレからなり、3室のグリーンの扉には大きなピクトサインが描かれたわかりやすいトイレとなっています。そのうち正面左の男女共用トイレは、西側の壁一面が曇りガラスになっており、西日によって映し出された植栽の影が室内に外の気配をもたらします。

代々木公園駅・代々木八幡駅周辺

06 代々木八幡公衆トイレ

:トイレ正面 右上:男子トイレ小便器 右下の左:多機能トイレ 右下の右:男子トイレ個室

基本情報

所在地渋谷区代々木 5-1-2
アクセス・小田急線「代々木八幡駅西口」より徒歩2分
・東京メトロ千代田線「代々木公園駅1番出口」より徒歩4分
・「07 はるのおがわ コミュニティパークトイレ」より徒歩6分
・「08 代々木深川町小公園トイレ」より徒歩6分
設計者伊東豊雄建築設計事務所

建築概要

「代々木八幡公衆トイレ」は代々木八幡宮の参道へつながる階段の目の前に建てられました。トイレは円形の鉄筋コンクリートとなっており、左から順に女子トイレ、多機能トイレ、男子トイレの3棟に分かれています。

地面と外壁は同じ茶系のタイル仕上げになっており、背後の森に溶け込んでいます。地面と外壁の入角は直線の境目がないR仕上げで、丸いトイレの平面配置によって生まれた隙間は、室内のような温もりのある柔らかな空間に仕立て上げられており、利用者を出迎えています。

男子トイレの小便器は目隠しのために丸い外壁の配置を利用して、裏側(屋外)に設けられています。利用者は柔らかな丸い壁づたいにスムーズにトイレを利用することができます。

07 はるのおがわ コミュニティパークトイレ

左上:外観 手前から順に男子トイレ, 女子トイレ, 多機能トイレ 右上:多機能トイレ側立面 左下:女子トイレ 右下:多機能トイレ

基本情報

所在地渋谷区代々木5-68-1
アクセス・東京メトロ千田線「代々木公園駅3番出口」より徒歩3分
・小田急線「代々木八幡駅北口」より徒歩5分
・「06 代々木八幡公衆トイレ」より徒歩6分
・「08 代々木深川町小公園トイレ」より徒歩3分
設計者坂茂建築設計

建築概要

はるのおがわ コミュニティパークトイレは、代々木公園と小田急線に挟まれた「はるのおがわコミュニティパーク」内に建てられました。

トイレは正面左から順に多機能トイレ、女子トイレ、男子トイレの順に並び、建物全面がガラス張になっています。ガラスはカラーフィルムと瞬間調光フィルムが通された強化ガラスになっており、室内から照らされた個室ごとに異なるガラス色は、公園の灯として美しく周囲を明るくします。

瞬間調光フィルムは、中に通された液晶内の粒子がばらばらに向いており通常時は入射した光が散乱させるため不透明に見えますが、電圧をかけるとその向きが同一になり透明に見える仕組となっています。これを利用して室内の鍵をかけるとガラス内の通電が止まり、不透明で外から目隠しされた状態となります。

透明/不透明さを一枚の2次元的なガラスで調節できるので、隠されてしまうトイレ室内の構成を外からでも把握することができます。

08 代々木深町小公園トイレ

左上:建物外観 手前から男子トイレ, 女子トイレ, 多機能トイレ, 使用時には手前の男子トイレのように曇りガラスとなる 右上:男子トイレ側外立面 左下:建物裏側立面 右下:多機能トイレ施錠時内観

基本情報

所在地渋谷区富ヶ谷1-54-1
アクセス・東京メトロ千代田線「代々木公園駅3番出口」すぐ
・小田急線「代々木八幡駅南口」より徒歩3分
・「06 代々木八幡公衆トイレ」より徒歩6分
・「07 はるのおがわ コミュニティパークトイレ」より徒歩3分
設計者坂茂建築設計

基本情報

代々木深川小公園トイレは、「はるのおがわ コミュニティパーク」の隣、「代々木深川小公園」内に建てられました。本トイレも「07 はるのおがわ コミュニティパーク」と同タイプのものとなっています。

ガラスの色は暖色系のものを基本としており、公園の灯としても機能しています。構造は両トイレともに鉄骨造で内壁や天井内に設備が納められており、細い鏡面仕上げのガラスサッシ、屋根の見付を実現しています。

原宿駅・明治神宮前駅周辺

10 神宮前公衆トイレ

左上:建物立面 左から順に男子トイレ, 多機能トイレ,女子トイレ 左下:男子トイレ :男子トイレ 天井には屋根を支える鉄骨トラス

基本情報

所在地渋谷区神宮前1-3-14
アクセス・東京メトロ千代田線/副都心線「明治神宮前駅5番出口」より徒歩7分
・JR山手線「原宿駅竹下口」より徒歩8分
・東京メトロ「表参道駅A2番出口」より徒歩13分
・「11 神宮通公園トイレ」より徒歩13分
設計者NIGO©️

建築概要

明治神宮前駅・渋谷駅周辺

11 神宮通公園トイレ

左上:南側出入口 中央に多機能トイレ 左下:男子トイレ ルーバーには照明が嵌め込まれ, 目隠ししている :多機能トイレ 天井には天窓が設けられる

基本情報

所在地渋谷区神宮前6-22-8
アクセス・東急/東京メトロ「渋谷駅B1番出口」より徒歩4分
・JR「渋谷駅ハチ公口」より徒歩8分
・東京メトロ「明治神宮前駅7番出口」より徒歩6分
・「10 神宮前公衆トイレ」より徒歩13分
・「12 鍋島松濤公園トイレ」より徒歩16分
設計者安藤忠雄建築研究所

建築概要

「神宮通り公園トイレ」は明治通と山手線に挟まれた神宮通り公園内に建てられました。男女トイレと多機能トイレの、全トイレが円形の平面内に収められており、その周りを斜めのルーバーが円状に取り囲んでいます。

ルーバーは目隠しとして、トイレ外周部から1.2mほど離れて設けられており、男女トイレの通路として半円ずつ風・光が入り込む開放的な室内を成しています。ルーバーは南北に2箇所出入口を設けており、行き止まりではない、通り抜けられるトイレとなっています。

また建物の屋根は外周部に向かって伸びており、360°雨宿りや待ち合わせできる庇として縁側のような開かれた場を周囲に生み出しています。まさに円の幾何学的性質を最大限に利用したトイレです。

渋谷駅・神泉駅周辺

12 鍋島松濤公園トイレ

左上:通路より公園を望む 右上:多機能トイレ 壁にはサクラやメタセコイアの端材が使用される 左下の左:通路と奥に男子トイレを望む 左下の右:男子トイレ 右下の左:男女トイレ 右下の右:こども専用トイレ
所在地渋谷区松濤2-10-7
アクセス・京王井の頭線「神泉駅」より徒歩6分
・東急/東京メトロ「渋谷駅A0番出口」より徒歩10分
・JR「渋谷駅ハチ公口」より徒歩13分
・「11 神宮通公園トイレ」より徒歩16分
設計者隈研吾建築都市設計事務所

建築概要

鍋島松濤公園トイレは渋谷駅から道玄坂を登った先の「鍋島松濤公園」内にあります。鍋島松濤公園はかつて紀伊徳川家の屋敷があった場所で、1876年に佐賀の鍋島家に払い下げられ、松濤茶園として松濤茶の販売をしていました。1932年には茶園は廃止され現在では渋谷区の管轄公園となっています。

公園は湧水池を中心に、そのほとりに設置されました。トイレは男子トイレ、男女トイレ、多機能トイレ、こども専用トイレの4棟に分かれており、公園の地形に合わせて階段状に配置されています。

トイレの外壁には合計240枚の吉野杉のルーバーが使用され、公園の木々と限りなく溶け込んでいます。さらに室内の壁にはサクラやメタセコイヤの端材が張り付けられており、一部屋ずつ装飾が異なっています。まさに屋外の公共トイレとは思えない程温もりを感じさせるインテリア内装となっています。

通常、建物本体の躯体の美しさや設計意匠をダイレクトに表現するためにコンクリートやガラス、鉄がむき出しとなってあらわとなりますが、建物本体を司る躯体の上に要素的に自然素材が仕上げられることで、視覚的に建物本体を見れるとともに、結果全体的に利用者が利用しやすい温もりのある空間に仕立て上げられています。

恵比寿駅周辺

13 東三丁目公衆トイレ

左上:建物立面 右から順に女子トイレ, 男子トイレ, 多機能トイレ 左下:男子トイレ小便器 右上:男子トイレ手洗器と個室トイレ 右下:多機能トイレ

基本情報

所在地渋谷区東3-27-1
アクセス・JR「恵比寿駅西口」
・東京メトロ日比谷線「恵比寿駅2番出口」より徒歩1分
・「14 恵比寿公園トイレ」より徒歩5分
・「15 恵比寿駅西口公園トイレ」より徒歩2分
・「16 恵比寿東公園トイレ」より徒歩4分
設計者田村奈穂

建築概要

東三丁目公衆トイレは道路と山手線に挟まれた三角形の狭小な敷地に建てられました。敷地の形状に合わせた三角形の鉄筋コンクリート造の中に男子トイレ、女子トイレ、多機能トイレが収められています。トイレの平面は三角形を利用した巧みなプランとなっており、目の前の歩道と室内の間に通路を設けることで人通りのあるパブリックな道路に面したトイレとして、利用者に配慮さたトイレとなっています。

トイレへの通路仕切り壁と屋根には、厚さ20mmの真っ赤な構造用鋼板が使用されており、赤く薄い斜めのシャープな形状が街に置かれたオブジェのように通りゆくひとの目を引きます。

出典:新建築

14 恵比寿公園トイレ

左上:左通路が男子トイレ 右通路が多機能トイレへ通づる 左下:女子トイレへ通づる通路 右上:男子トイレ 右下:多機能トイレ

基本情報

所在地渋谷区恵比寿西 1-19-1
アクセス・JR「恵比寿駅西口」より徒歩3分
・東京メトロ日比谷線「恵比寿駅2番出口」より徒歩1分
・「13 東三丁目公衆トイレ」より徒歩
・「15 恵比寿駅西口公衆トイレ」より徒歩3分
・「16 恵比寿東公園トイレ」より徒歩6分
設計者片山正通 / Wonderwall®︎、大和ハウス工業

建築概要

恵比寿公園トイレは「恵比寿公園」内に建てられました。トイレは男子トイレ、女子トイレ、多機能トイレからなり、全体をフラクタルに配置された高さ3.5mほどのコンクリート壁に仕切られています。奥まっていくようなトイレへの通路は、むしろ中へ入りたくなるような仕掛けになっています。

コンクリート壁の表面には本実型枠の木目が表れており、無機質になりがちなコンクリート打ちっぱなしではない、有機的な荒々しさが屋外のトイレとして公園と調和しています。

15 恵比寿駅西口公衆トイレ

左上:男女トイレ 上中央:北東側より撮影 左の扉より多機能トイレ, 用具庫と男女トイレ2つが並ぶ 右上:南側通路 手前の扉より幼児連れトイレ, 男女トイレと並ぶ 左下:多機能トイレ 下中央:男女トイレ 右下:南東側より撮影

基本情報

所在地渋谷区恵比寿南1-5-8
アクセス・JR「恵比寿駅西口」・東京メトロ日比谷線「恵比寿駅1番出口」すぐ
・「13 東三丁目トイレ」より徒歩3分
・「14 恵比寿公園トイレ」より徒歩3分
・「16恵比寿東公園トイレ」より徒歩4分
設計者佐藤可士和、大和ハウス工業

建築概要

恵比寿駅西口公衆トイレはJR恵比寿駅西口の目の前に建てられました。建物本体は鉄筋コンクリート造で、屋根からキャンチレバーした鉄骨から白いアルミルーバーが吊り下げられています。ルーバーは建物の3方を囲うようにして6m四方の正方形を成しており、一面50列、合計200枚(=50×4枚)のルーバーが使用されています。ルーバーは地面から30cm程浮いています。

トイレの入口は駅前広場とは逆の線路側にあり、ルーバーを回り込むようにして裏手に行くと、4つのトイレへ通づる2箇所の入口と多機能トイレが面しています。ルーバーで目隠しされた通路を経て各トイレにアクセすることにより、人通りの多い駅前において段階的に入りやすいように配慮されています。

白い浮いたルーバーの外観は、トイレとはわからないほど見分けのつかない見た目となっており、中の人影を透けて映すようなルーバーは清潔感のあるトイレを演出しています。

16 恵比寿東公園トイレ

左上:男子トイレ 左下:トイレ外観 左のボックスが男子トイレ, 中央が多機能トイレとなっている 右上:中庭 左の女子トイレ, 中央奥の多機能トイレ, 右の男子トイレに囲まれる 右下:多機能トイレと中庭越しに男子トイレを眺める

基本情報

所在地渋谷区恵比寿 1-2-16
アクセス・JR「恵比寿駅西口」より徒歩3分
・東京メトロ日比谷線「恵比寿駅1番出口」より徒歩4分
・「13 東三丁目公衆トイレ」より徒歩3分
・「14 恵比寿公園トイレ」より徒歩6分
・「15 恵比寿駅西口公衆トイレ」より徒歩4分
設計者槇総合計画事務所

建築概要

恵比寿東公園トイレは「恵比寿東公園内」に建てられました。トイレは男子トイレ、女子トイレ、多機能トイレの3つのボリュームからなり、ボリュームは真ん中に中庭を囲うようにして分棟配置されています。トイレの隙間を経てトイレ全体が通り抜けできるようになっており、また多機能トイレの外壁にはベンチも設置されており、公園の中の便益施設として限りなく一体化しています。

男女トイレそれぞれの手洗器はボリュームから通路を挟むように離れて設置されることにより、トイレに用がない人でも手を洗うことができます。3つのボリュームに支えられた厚さ16mmの紙のような白い曲面の鉄板屋根が、軽々と全体を覆い、トイレ全体の透明度をあげることで利用しやすいトイレとなっています。