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基本情報
所在地 | 〒813-0017 福岡県福岡市東区香椎照葉5-1-1 |
アクセス | ・「博多駅バスターミナル」より都市高速経由アイランドシティ行バス乗車し、終着「アイランドシティ中央公園前バス停」下車 |
開館時間 | 9:00〜17:00 |
休館日 | 火曜日(祝日の場合翌日閉館) |
入館料 | 100円(小学生以下50円) |
HP | https://ic-park.jp/index.html |
アイランドシティ中央公園
「アイランドシティ」は福岡県福岡市東区の博多湾面した人工島です。主に埠頭用地などの港湾関係、産業用地、住宅用地、公園に利用され、2021年現在もタワーマンションの建設が続いています。
「アイランドシティ中央公園」はアイランドシティ全体の災害拠点として、2005年に開園しました。公園は道路を挟んで南北に分かれており、体験学習施設「ぐりんぐりん」は北側の「修景池」ほとりにあります。設計は伊東豊雄さんによるもので、2005年に竣工しました。3つの連続したシェル構造が特徴です。
建物は「北ブロック」、「中央ブロック」、「南ブロック」の3つに分かれており、北ブロックは誰でも入れるフリースペース、中央ブロックは亜熱帯植物を飼育し展示する施設、南ブロックは熱帯魚の展示のほか会議室やワークショップスペースがあります。
北ブロック
北ブロックは誰でも入れるフリースペースになっており、公園の休憩場所としても使われています。
中の植物のために大きなシェル構造にひとつの孔が開いており、明るい空間になっています。曲面はコンピューターシミュレーションによって修正を加えられながら、力学的に最も合理的な形状で最終決定されています。
一見奇抜で手間のかかりそうな建築ですが、有機的で不均質な形態がむしろ、自然界の原理に即した最も合理的な形態を生み出しています。
周囲の均質で整然とした人工島とは異なり、有機的で不均質な建築が、公園のランドスケープと連続した空間を生み出しています。
中央ブロック
中央ブロックは年間を通して熱帯植物やオオゴマダラ蝶の生態観察をすることができます。夏は周辺環境を活用した室外との共生、冬は外壁の温水ラジエターや空調設備による室内環境保護により、熱帯動植物の保護を行っています。
特に夏は博多湾の卓越風を室内に送り込むことで、頂部の孔よりシェル壁づたいに熱気を排熱する自然換気が行われます。
また雨水は一時的に貯蔵され、植物へ利用されます。
スロープを出ると屋上の遊歩道へとつながります。シェル屋根は緑化され、周囲の公園と一体的なランドスケープを生み出しています。緑化は空調負荷の低減効果もあります。
スロープを一周すると中央ブロックと南ブロックの間にある広場にたどり着きます。
南ブロック
南ブロックでは熱帯魚の観察の他に、ワークショップコーナーがあります。
奇抜な形態なしには建築の進展はない
伊東豊雄さんは「せんだいメディアテーク」や「TOD`S表参道ビル」、「台中国家歌劇院」など従来の近代建築のあり方を打破すべく、数々の有機的な建築を生み出しています。
しばしば自然と建築の共存と言われますが、その多くが屋上緑化や自然再生エネルギーの活用など、単なる表層的なものに過ぎません。しかし伊東さんの建築は近代建築の幾何学的な形態そのものを捉え直し、21世紀の新しい建築を提唱されています。
以上に列挙した建築の共通点は一見不均質で不規則な構造体が自然界の原理に則した合理的な形態を生み出していることです。すなわちそれはミースやコルビュジエにはなかった無限パターンの建築空間を生み出すことができるのです。
すなわち彼らの思い描いた合理的な空間は、現在ではある種の社会問題を引き起こし、必ずしもスマートな世界ではないことが今回の新ウイルス蔓延でも露呈しました。人間も自然由来の生物であり、最終的には誰もが自然へと帰るように、近代建築のあり方が見直されています。