大阪府の建築めぐり/おすすめ有名建築一覧【7選】| Osaka Architecture Guide

梅田スカイビル|Umeda Sky Building

設計者

原広司+アトリエ・ファイ建築研究所+木村俊彦構造設計事務所+竹中工務店

建築概要

梅田スカイビルは原広司・アトリエ・ファイ建築研究所の設計により1993年に竣工しました。2棟の超高層ビルを上空で連結した、世界で初めてのビルです。地上で組み立てた重さ約1,040トンの空中庭園部分をワイヤーで吊り上げる「リフトアップ工法」が採用されました。

原広司氏は日本で唯一超高層ビルを設計した建築家として知られていますが、それは超高層ビルの本質である構造、エレベータコア、基準階、ファサードなど、いち建築家・デザイン事務所が前例のない超高層全体をデザインしたという点で、日本で唯一の超高層を設計した建築家として知られています(たいていの超高層における建築家の仕事は、ファサードや内装、いっても低層部の設計等、表層デザインや一部のフロアに限られる)。

梅田スカイビルは3つの点で超高層ビルにおける新な可能性を提示しています。①縦交通(エレベータシャフト(EV))・設備シャフトの問題 ②グランドレベル(GL)の問題 ③彩光の問題です。

①の縦交通(EVシャフト)・設備シャフトの問題ですが、シャフトとは、EVや設備を縦に通すためのスペースです。超高層は少ない土地で床をたくさん縦に重ねることで効率的なビルディングにも見えますが、床を重ねるほどそれだけ多くのシャフトスペースも必要になります。少ない土地であまりにも床を重ねすぎると、今度は居室として使えるスペースがシャフトスペースに圧迫されてしまい、多く重ねれば効率的というものではないのです。梅田スカイビルでは空中地盤(庭園)からシャトルEVと、中層階にある2棟をつなぐブリッジより急行EVが、2棟の建物からむき出しで設置されています。これは建物内部の床面積に干渉・圧迫せずに、シャフトが外付け可能であることを示しています。見方を変えると、建物全体を門型の大きな一棟と考えれば、中央の隙間をコアスペースの設置可能な大きな吹き抜とみなすこともできます。

また超高層の人の動線は地上対各フロアの関係になっています。すなわち各フロアは建物のEV交通の末端に位置しており、人はその末端と地上をEVで行き来するのみです。上層階の空中地盤はその関係を変える可能性があります。すなわちあれだけのまとまった面積の地盤を最上階に設けることができれば、オフィス以外のレストランやショッピング・娯楽施等の用途が可能です(それら用途の搬出入専用EVも外付け可能)。それらを求めて昼休憩など地上に向かうのみの動線でしたが、今度は上層階に向かう動線が生まれる可能性があります。同一方向の極度なEVの混雑が地上と最上階に分散されることで、超高層のオフィスワーカーの生活のあり方も変わるでしょう。

②グランドレベル(GL)の問題ですが、グランドレベルとは地上のことです。超高層ビルはル・コルビジュエの「輝く都市」でイメージされるように、地上の高密な建物の集合(=都市)の代わりに、床を高く積むことで、地上の空いたスペースに誰もが入れる緑地を作ろうというコンセプトで20世紀の超高層ビルは建設されてきました。実際に梅田スカイビルのGLにも、部外者でも入れる公園(公開空地)が設けられています。しかしすでに密集した都市では大規模な再開発用にまとまった土地を取得することは容易ではありません。梅田スカイビルは門型のまとまった一棟のビルと考えると、超高層ビルは複数の土地にまたがって建てることが可能であることを示しています。すなわち一団にまとまった土地内に一棟のビルではなく、複数の小分けの土地を足元として、空中で連結することで、再開発可能であることを示しています。過去に建築家によってメタボリズムの空中連結都市が提案されましたが、実際に超高層ビルにおける空地連結ビルは初です。

最後に③彩光の問題です。前述したように門型の間のスペースはビル全体の大きな吹き抜けと考えることもできます。考え方によっては、本来のビル棟を2棟の分棟にしたものと考えることもできます。しかし2棟にわけるということは、その分建物の外皮の面積も増え、建設費や熱負荷も上がります。しかし中央の大きな吹き抜けからは彩光が可能です。超高層ビルの居室は天高とガラスからの奥行きによって自然光による照度が決まりますが、非効率的に設計(天高を高くし床を減らし、奥行きを減らして積層可能な床面積を小さくようと)すると照度が上がり、不動産価値も上がります。しかし唯一彩光できるのは外皮のガラスからなのです。梅田スカイビルでは1テナント4面外皮に面しており、1テナントの照度を増やしています。

グラングリーン大阪|Grand Green Osaka

SANAA設計の大屋根イベントスペースと今回新しく整備されたビル群
左に梅田スカイビル 右にグランフロントのビル群 既存ビルを借景とした都市公園

設計者

日建設計+三菱地所設計+竹中工務店+大林組+日建ハウジングシステム+GGN+SANAA+安藤忠雄建築研究所

建築概要

グラングリーン大阪は、旧国鉄梅田貨物駅跡地に、都市公園と再開発ビルの整備がなされました。敷地は大阪駅北1号線を挟んで南北に分かれており、東側には2013年にオープンしたグランフロント大阪、西側には原広司設計の梅田スカイビルがあります。

本プロジェクトの評価される点は、新しく整備する超高層ビル・公開空中(都市公園)と周囲の既存超高層ビルの配置関係です。大阪駅北1号線を境に南北に都市公園が整備され、さらにその南北にそれぞれ新しく高層のビルが整備されました。既に東西には前述したグランフロント大阪のビル群と梅田スカイビルが建ち並び、新しく整備された公園は既存と今回の超高層ビルに囲まれるかたちですり鉢状の都市景観を形成しています。

すると公園に訪れた人は周りの高い建物に囲まれることで、まるで自分が都市の舞台の中心に立っているかのような高揚感のある景観を生み出しています。通常の再開発はビルの周りに公開空地(公園)が取り巻いているので、高い建物を目の前にしても建物に関係のない部外者は疎外感を感じてしまいます。結果ビルに関係の人しか近寄らない、寂れた地帯となるのです。

本プロジェクトは通常の再開発の手法の地と図が反転したかのように、公園の周りにビルが建ち並んでいます。そこに建つと自分がまるで都市の中心にいるかのような感覚になるので、人の賑わいがさらに人を集め、都市の広場として見事に賑わいのある公園として成功しています。既存の超高層ビルと新超高層ビルを借景にした、丁寧な配置計画がなされています。

大阪中之島美術館|Nakanoshima Museum of Art, Osaka

左上:2階よりパッサージュを見上げる 右上:4階よりパッサージュを見渡す, 4,5階は展示室のホワイエとして視覚的につながる 下:4,5階パッサージュを見上げる 右下:5階パッサージュ, 南北を貫き、中央はブリッジになっており下階を見渡せる

基本情報

所在地〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-3-1
アクセス・京阪中之島線「渡辺橋駅2番出口」より徒歩約5分
・大阪メトロ四つ橋線「肥後橋駅4番出口」より徒歩10分
・JR大阪環状線 「福島駅2番出口」/JR東西線「新福島駅2番出口」より徒歩10分
・阪急「福島駅」より徒歩10分
・JR「大阪駅」/阪急「梅田駅」より徒歩20分
・53号/57号系統「田蓑橋バス停」より徒歩2分
開館時間10:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日月曜日(祝日の場合翌日休館)
入館料料金は展覧会により異なります
詳しくはこちら
HPhttps://nakka-art.jp/

設計者

遠藤克彦建築研究所・大阪市都市整備局

建築概要

「大阪中之島美術館」は2021年6月30日に竣工し、2022年2月2日にオープンしました。建物は堂島川と土佐堀川に挟まれた「中之島」に建てられ、島特有の土地性から地下には収蔵庫は設けず、収蔵庫は2階より、展示室は4階より上階にそれぞれ持ち上げて設計がなされました。

1階はショップやホール、搬入庫となっており、それを基盤に2階は美術館の基準階となるエントランスが設けられています。2階へは新たに設けられた遊歩道や「国際美術館」、「中之島四季の丘」から歩行デッキによってアクセス可能となっており、高さ36.9mの巨大な直方体を周辺街区から距離を保つことで圧迫感を与えることなく、直方体とランドスケープの美しいコントラスト景観を生み出しています。

2階のエントランスを入ると、1階から5階までの天井高30.9mが視覚的につながった「パッサージュ」と呼ばれるメインエントランスホールが広がっています。パッサージュとは18世紀以降フランスにて生まれた、商店街路地にガラス製の屋根に覆われたアーケード商店街のことで、現代では日本でも多くの駅前にアーケード商店街がが見られます。パッサージュによる歩行空間は商店街全体を屋根で覆い路地が屋内のように錯覚引き起こすことで、建物内外で一体感を生み出し、店舗に気軽に立ち寄ることが出来ます。

中之島美術館ではそのパッサージュの概念を生かして、展示室を収めた箱の外観による内観が、1階から5階まで、迷宮のように奥まって見え、パッサージュのように屋根の下に軒を連ねた商店のような屋内外の反転を引き起こしています。4、5階展示室はそれぞれそのパッサージュに面しており、来場者はその2つの空間を行き来することで、本来のパッサージュのような気軽に立ち寄ってほしいという願いが込められています。

http://jpn-architecture.com/building-type/museum/nakanoshima-artmuseum

こども本の森 中之島|Nakanoshima Children's Book House 

右上:建物外観 上中央:3階まで視覚的につながる本棚に囲まれた吹き抜け 右上:大階段と本棚 左下:建物中央に設けられた大階段 右下:直径3.9m, 天井高12.35mのコンクリート打ちっぱなしの円筒空間

基本情報

所在地〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島1-1-28
アクセス・京阪中之島線「なにわ橋駅3号出口」すぐ
・地下鉄御堂筋線・京阪本線「淀屋橋駅1号出口」、地下鉄堺筋線・京阪本線「北浜駅26号出口」より徒歩6分
開館時間9:30〜17:00
休館日月曜日(祝日の場合、翌日休館)、蔵書整理期間、年末年始
入館方法要事前予約
予約
HPhttps://kodomohonnomori.osaka/

設計者

安藤忠雄建築研究所

建築概要

「こども本の森 中之島」は地上3階建の鉄筋コンクリート造で、2019年12月に竣工し、2020年3月1日にオープンしました。大阪ご出身の建築家、安藤忠雄氏が、自らの考えを形成する時期にあたるこども達向けに、これから目まぐるしく変化する世界を、自ら考え行動して欲しいという熱意から、氏自らが設計し、建築費を負担、市民や企業からの寄付により運営費が賄われました。

図書館は本を貸し出しを行なっていない代わりに、内部全てが開架書架となっています。建物中央には本棚の壁に囲まれた3階分の開放的な吹き抜けが設けられる一方、階段裏など、通常の建築ではデッドスペースになってしまう隙間まで、こどもの身体的スケールに合わせて有効的に空間利用されています。探究心のままに自分の好きな場所で自由に本を読むことが出来ます。

特定の空間や家具に対して、決まりきった行為にとらわれるのではなく、自らが振る舞いや利用の仕方を考えるような仕掛けが、他にはない安藤氏ならではのフラットな図書館になっています。

松原市民松原図書館|Matsubara Civic Library

左上:2階より建物中央吹抜けを見渡す 左下:3階児童開架エリア, 開放的な1,2階とは対照的に, 3階へは巣窟のよな奥まった構成になっている :2,3階を結ぶ階段, 思わぬ箇所に開口が出現する, 奥にはこどもの身体スケールで設計された行止まり空間, 利用者それぞれの距離感をもって壁を感じることができる

基本情報

所在地〒580-0044 松原市田井城3-1-46
アクセス・近鉄「高見ノ里駅」より徒歩4分
・近鉄「河内松原駅」より徒歩12分
開館時間9:00〜21:00
休館日3月・8月・12月を除く第三木曜日、年末年始
HPhttp://www.trc-matsubara.jp/

設計者

高野洋平+森田祥子/MARU。architecture

建築概要

「松原市民松原図書館」は2019年11月に竣工しました。地上3階建の鉄筋コンクート造と鉄骨造による建物は既存の公園にあった溜池内に建てられ、新たに設けられた桟橋によりアクセス可能となっています。

建物外壁は、粗ベニア型枠によるカラーコンクリートの荒めの仕上げになっており、巨大な岩のような外形のようでもあります。水面に浮かんだその佇まいはずっと昔からそこにあったかのように思わせるくらい、周辺の景観に溶け込んでいます。

館内は鉄骨造の柱・梁で構成されており、それを赤茶の外壁コンクリートが囲んでいます。建築内外が同じ素材感のコンクリートで統一されているので、池越しに遠くから外観としてコンクリートを望んだり、吹き抜けから内観としてコンクリートが垣間見えたり、閲覧席の目の前に現れるコンクリートの素材感を感じたりと、外壁をあらゆる距離感やスケール感で感じることになります。

真っ白な内部仕上げに、決して新しいとは言えない見た目の外壁がある種の乖離を引き起こしており、また外壁には複数の開口が設けられることで、常に一枚肌のコンクリートに囲まれていると意識の中で、思わぬ外の景色に巡り会うこととなります。

利用者は景観として外壁を日常的に見たり、実際に身近に壁を感じたりと、年代や使い方によっても壁の存在というものも異なっており、しかし利用者にとってはその場所にずっと佇む不動の風景として記憶に残り続けるでしょう。

大阪芸術大学 アートサイエンス学科棟|Osaka University of Arts, Department of Art Science Building

左上:外観 左下:共有エリア内観 右上:2階から共有エリアを見渡す 右下:床となって地面に接する厚さ400mmのコンクリートスラブ

基本情報

所在地〒585-0001 大阪府南河内郡河南町東山
アクセス・近鉄「喜志駅」より金剛バス「近つ飛鳥博物館前」行に乗車し、「東山(芸大前)バス停」下車
・近鉄「喜志駅」より無料スクールバス
スクールバス時刻表HP
HPhttps://www.osaka-geidai.ac.jp/

設計者

妹島和世建築設計事務所

建築概要

「大阪芸術大学 アートサイエンス学科棟」は、2017年大阪芸術大学で新たに新設された、アートサイエンス学科の校舎として、2018年11月に竣工しました。

建物全体がうねった曲線のコンクリートスラブで構成されており、建物は地下1階、地上2階建ての鉄骨鉄筋コンクリート造で、地下にはプランの3室のギャラリーと5室の実験室、1階には4室の講義室、8室の教員室と中央には2層吹き抜けの共有エリアが配置されています。従来の壁、床、天井という概念ではなく、床でもあり天井でもある3枚のコンクリートスラブが重なり建物の外観と内部空間を構成しています。

スラブは時折床として我々の足元と近い距離にありましたが、ある部分では天井となり、そして向こう側まで離れていきます。その表裏のないスラブが全体を構成することで、あるところでは来訪者を迎え入れるオープンな天高のピロティ、ある場所では適切な天高とふところの居室、あるところでは2階へ緩やかに誘導する動線、あるところでは外の風景を切り取る窓といったように、場所ごと応じた自由度の高い設計を可能にしています。

共有スペースの天井は最も高いところで9,320mmあり、9mのグリッド状に配置された柱に支えられています。上から3枚目のスラブには、うねりの中に講義室(天井高さ3,010〜3,200mm)や教員室(天井高2,460〜3,600mm)、合同研究室(天井高3,350〜3,600mm)といった耐震壁を兼ねた諸室を均等に配置することで、建物全体の水平力を保っています。そのため部屋によって天井高さが変化するのも面白い点です。

枚方 T-Site|Hirakata T-SITE

基本情報

所在地〒573-0032 大阪府枚方市岡東町12-2
アクセス京阪電車「枚方市駅南口」より徒歩1分
営業時間7:00〜21:00
休業日年中無休
HPhttps://store.tsite.jp/hirakata/

設計者

竹中工務店

建築概要

「枚方 T-site」は「蔦屋書店」を中核とした生活提案型商業施設で、竹中工務店の設計により2016年5月にオープンしました。枚方はTSUTAYAの発祥の地であり、蔦屋書店は全国にTSUTAYA事業を展開する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)」により運営され、スターバックスコーヒーの飲み物とともに店内飲食可能なブックカフェとなっています。

普段飲食ができない本屋を逆手に取りコーヒーを片手に飲食しながら本が読め、家のリビングでくつろいでいるかのような空間をコンセプトに、照明からソファなどの家具に至るまで外出していると感じさせないほど落ち着いた空間になっています。

近代都市のモータリゼーションや駅前という立地を活かして、パソコンやスマホを持ち込んでインターネットに接続可能な、滞在・居住空間を提供することで、枚方市やその広域地区をカバーする、家でも学校、職場でもない、新たな地理的身体の獲得が可能な場を提供しています。