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世界で最も危険な建築【高過庵】をご紹介します!!藤森照信設計 長野県茅野市

基本情報

所在地〒391-0013 長野県茅野市宮川389-1
アクセスJR中央本線茅野駅より徒歩35分(神長館守矢史料館から徒歩2分)

高過庵

世界でもっとも危険な建築

アメリカ『Time誌』で「世界でもっとも危険な建物トップ10」にランクインした「高過庵」。山から伐り出してきた2本のクリの木の上にあり、地上からの高さは6m50cmもあります。設計した藤森照信氏は、21世紀の人類の住まいは、どのようであるべきかを追及するために、縄文時代から現代までの人間の住まいを研究し、設計する建築家です。今回のこの「高杉庵」は用途としては茶室ですが、もうひとつ、藤森氏による試みによってこのような奇抜な建築が建てられました。建物は藤森氏設計の「神長館守矢史料館」の近くにあります。

祖先の寝ぐらは「樹上の鳥の巣」

藤森氏によれば、我々の祖先縄文人たちは、寝る時に限って「高さ」を必要としていたといいます。なぜならば蚊によって媒介されるマラリアを防ぐためだといいます。『日本書紀』に「夏は樔(す)に宿(ね)、冬は穴に住む」とあり、これは蝦夷の住まい方について記述されたもので、樔とは夏の暖かい時期に発生する蚊を防ぐために、鳥の巣のような高いところに寝たといいます。冬の穴とは、地面から少し掘り下がった、竪穴式住居のことですね。確かに私も小学生くらいの時、公園の木の上に秘密基地を建てて、上から眺めるのが心地よかった気がします。今思えば、高いところに落ち着くというのは全人類が興味本位でやっているのかなと。

設計プロセス

藤森氏のまち、茅野市にある山から、実際に8mの栗の木を伐り出しその上に茶室が建てられました。栗の木でないと強度的に問題があったそうで、茶室の躙口は地上から6m50cmのところにあり、入るにははしごを用います。いくら個人用の茶室とはいえ、バリアフリーという概念が全くないのが面白いところです。しかし自らの手ではしごを登り、景色の変化を楽しむことこそが、当時の縄文人の心が初めてわかるのです。藤森氏は縄文人が視覚芸術を開花させたのは、このような周囲に何もない高いところの景色を楽しんだだからといいます。


屋根は藤森氏お馴染みの、手で曲げた銅葺
高さ6.5m、広さ6.24㎡の茶室
窓は竹製のすのこで閉められている
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