「新毎メディアガーデン」基本情報

所在地:〒390-8585 長野県松本市中央2-20-2
アクセス:JR松本駅から徒歩8分
専用駐車場なし
開館時間:10:00〜22:00

信州毎日新聞社

「新毎メディアガーデン」の「新毎」とは「信州毎日新聞社」のことで、長野県松本市と長野市で最もポピュラーな新聞社です。「新毎メディアガーデン」は松本本社の老朽化に伴い市の中心部に移設建設されました。

場所は、松本城から伸びる「本町通り」に面し、かつて伊東氏が設計した「まつもと市民芸術館」や、「JR松本駅」、「松本城」「松本市役所」、「松本市美術館」、「中央公民館」が近くにあります。

「建築家は与えられた要件をただパズルのように配置するだけである」

この建築の面白い点は2015年春から始まった「新毎新松本本社まちなかプロジェクト」という名もと、地域住民や施主であり民間企業でもある新聞社社員、さらに信州大学学生や地元建築家、専門家が一緒にワークショップを通じて、街にふさわしい建築空間を一緒に考えながら設計された点にあります。

設計者の伊東豊雄氏は、建築家は要求された諸室や機能を、依頼で決められた用件の中で、まるでパズルかのように配置していくことが主な仕事になってしまっているといいます。

そうではなく、依頼主だけではない地域住民やそこを使う人、専門家が、街のこれからのビジョンや未来像を互いに共有し、積極的に街づくりに参加することが大切であるといいます。

実際に「新毎新松本本社まちなかプロジェクト」は、地元住民に加え、13人の新聞社社員、建築家や学生が参加しました。地元の人の意見としては、待ち合わせする場所、子供たちが冬でも屋内で思いっきり遊べるスペース、地元の人と観光客が触れ合えるスペース、新聞社と市民が共に情報を提供する場、災害時の情報発信拠点などが挙げられました。

そしてそれらの意見を専門家が建築に落とし込み、安く使える貸しホール、市民や観光客が直接触れ合いその出来事を新聞で発信する「まちなか情報局」などが挙げられました。

このようにして1階は、街に対して開放された屋内型の公園のように、観光情報を発信する「まちなか情報局」やカフェ、有料で使えるホール、新聞コーナー、椅子やテーブルが設置されています。

1階エントランス、ショップもある
誰もが気軽に入れる、街に開けた公共空間
新聞を自由に閲覧できる
すだれのようなルーバーと開放的な開口が縁側空間のようである
「まちなか情報支局」
有料で使える「ホール」

2階から3階は、商業施設やシェアキッチン、屋外テラス、スタジオが入っています。道路に面した屋外テラスは、松本の街を眺めることができ、気軽に住民や観光客が訪れ、休憩したり食事したりするスペースになっています。

3階平面図
「シェアキッチン」
2階屋外テラス
3階屋外テラス
松本の街を眺められる

クリーンな建築

建物の外観は、1階から2階にかけて、夏の暑さをしのぐためのすだれをイメージしたルーバーが立てかけられています。このようなルーバーによって熱負荷を軽減し、風の通りを調節することができます。

4、5階は信州毎日新聞社のオフィスで、新聞社の社員からは、緑を感じることができ風通しの良い自然を感じる空間が良いと提案があったそうです。実際に3階から5階にかけての建物ファサードに、厚さ35センチの木製ルーバーを格子状につけることで、夏の日射を遮ることができます。

その他屋上に太陽光パネルや、近くを流れる蛇川のシズを利用した水熱源ヒートポンプ方式と床冷暖輻射を利用することで省エネルギー化を実現しています。