「シルバーマウンテン・eキューブ」基本情報

所在地:〒213-8580 神奈川県川崎市高津区久本2-3-1
アクセス:JR南武線「武蔵溝ノ口」駅、東急東横線「溝の口」駅より徒歩9分
「洗足学園前」バス停下車すぐ

シルバーマウンテンとeキューブ

洗足音楽大学溝の口キャンパスに2013年に新しく建てられた「シルバーマウンテン」と「eキューブ」。「シルバーマウンテン」は練習ホールやリハーサルホールの機能が入り、自由曲線の形状が特徴である。さらに仕上げは「ステンレス板」が1枚1枚貼られていて、板の並びが方面によって異なっている。一方の「eキューブ」は、事務室等の機能が入っていて、3種類の赤色タイルがキャンパスにインパクトを与えている。

実際「シルバーマウンテン」の周囲は、立つ位置によって、自由曲線とそれを成すステンレス板により、変化に富む建物の形状と太陽光の反射を楽しむことができる。

幾何学的な「eキューブ」が自由曲線の「シルバーマウンテン」をより際立たせ、正門から入ってきた人は、それら両建物のコントラストと、自由曲線のなす変化に気を取られながら、両建物の間に吸い込まれるかのように導かれることになる。

正門からの導線は両建物の間を抜けて、広場へ繋がるように配置されている。赤い建物がより銀の自由曲線を引き立てる
立つ場所によって形状が異なる
ステンレス板も箇所によって配置が異なる
ステンレス板が1枚1枚貼られている、シルバーマウンテンはその日の空の表情をそのまま映し出し、夜になるとライトアップされ、キャンパスの中心的な建物である
左:eキューブ、右:シルバーマウンテン、正門から広場へのの導線は両建物の間を突き抜ける、写真の手前側には大きな広場がある
両建物を結ぶガラス庇、左右非対称というデザインがが両建物にとって良いつなぎ目を果たしている
鹿島建設ホームページより
2階からeキューブを望む

幾何学と自由曲線が交差して成す不揃いさ

シルバーマウンテンの内部空間はホールや練習場、トイレや階段などの機能が詰まっているが、これら幾何学的な空間配置と、自由曲線で交わる境には様々な「不揃い」が発生している。

例えば、3階のホール。波波の壁と自由曲線の交差するところには2次元上に波が発生している。この波波は、音の吸音率を上げる効果がある。

3階のトイレ前の廊下。左に見えるのがトイレの入り口だが、奥に進むと自由曲線が壁から現れているのがおもしろい。

ここは3階男子トイレ。小便器を仕切る仕切り版は曲線によって切られた形状になっている。

階段も曲線に合わせた設計になっている。

設計者のこだわりディテール

「eキューブ」の外壁のタイルには3種の赤色タイルが使われている。通常タイルを外壁に貼る際は、表面上に薄いタイルを貼るが、建物の角(出隅)には下の図のような勝ち負けが生じてしまう。しかしそれらを解消するために薄いものではなく、直方体のタイルを使用することで角をきれいに見せるとともに、より壁に物質性を持たせることができる。