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都会のオアシス!「台南スプリング」をご紹介します。MVRDV設計 台湾台南市

基本情報

所在地Zhongzheng Rd., West Central Dist., Tainan City 700
アクセス「可楽広場」バス停
開放時間9:00〜22:00
閉鎖日火曜日

減築によって生まれた新しい公共空間

「台南スプリング(Tainan Spring)」はオランダの建築設計事務所MVRDVの設計により2020年にオープンしました。台南市は17世紀以来水運都市として市の海運や漁業を担ってきましたが、1983年には運河に隣接する古い港に現代的なレジャーエンターテイメント施設「China-Town Mall」がオープンし、旧来の中華タウンは1990年代から活気を失っていました。

そこで市政府は2006年に周辺の都市開発計画に着手し、この場所にあった1980年代の廃墟化した中華モールは2016年に取り壊されました。しかし全て完全に壊すのではなくMVRDVは一部躯体を残しながらも、元々駐車場だった地下1階の天井を取っ払い屋外広場としました。すると周辺の街よりも1階低い開放的な屋外空間が誕生しました。周りの街から1段低い広場は、不特定多数の視線が街から見下ろされることで、こどもたちにも良い治安を提供しています。

元々地下駐車場だった地面を街に開放

地面は有機的なデザインとし、水たまりが整備されました。高温多湿の台湾ならではの広場計画で、既存躯体の仕上げもすばらしく、廃墟化した鉄筋コンクリート柱・梁が白塗りにオブジェのように残されています。

広場全体として白塗りの躯体が周辺の街を引き立てながらも、水面が突如街中に現れたオアシスのように、水辺が周辺の街の人々を自然惹きつけるような親しみをもちやすい親水空間になっています。

実際にこどもたちだけでなく大人や実際に訪れた私も、身体的にこの公園を使いこなしていました。それは台湾でしかできない計画と設計によるものです。

また2つの街区にまたがって整備された広場は中央に道路のブリッジがかかっています。このブリッジの扱いもとても斬新で、広場全体に満遍なくに整備された水たまりの上に橋がかかることで、広場の中の既存躯体と等価に扱われ、まるで公園の中のオブジェとして同じ白塗りに統一されています。

減築によって生まれたブリッジ

すると公園中央のブリッジは土木的な威圧感を放つことなく、高架下というネガティブで違和感もない空間が生まれています。むしろ下に潜りたくなるような親近感のある土木躯体となっており、日本の完成度の高い土木事業ではなせない魅力的な空間となっています。

高架下の暗い空間に感じさせない親しみのある土木

日本の最近の公共空間

現在日本では公園や学校、図書館、市役所など、行政による公共空間の整備は民間の都市再開発事業とセットで行なったり民間の出資を募ることで、縮小する財政の中でなるべく税金を使わずに公共を整備しようとする動きが盛んになっています。例えばPark PFI制度は公園に民間の店舗を誘致してその収益をで公園の維持費を賄ったり、学校の建設費を隣接する街区で容積緩和等の規制緩和を行うことで資金調達を行なったりしています。

今回の台湾スプリングのような、減築を行い街全体としての魅力を上げるような公共空間を整備する事例は日本ではあまりなく、むしろ整備した見返りとして民間と結託を行いその結果街に建物がどんどん建てている状況です。しかし同じ方法ををどこでもいつでもできるとは限りません。人口減少の中、相反して建物新築による経済の維持は長期で見るとで効果的ではないと言えます。

話は変わりますが、Zipparという現在新しいロープウェイ型の都市交通が着目されています。これは経済的に路面電車よりも整備しやすく、またバスよりもフリークエントな運行が可能となっており、「駅徒歩10分」という駅近土地バブルに革命をもたらすとされています。すなわち今までの駅近の極端な土地価格が、Zipperで気軽に「駅と周辺が3分」で繋がることで街全体の土地価格がならされるというものです。

すると駅近にしかできなかった建物用途が駅に縛られず街全体に分散し、用途の混在が街の界隈性につながります。たとえが全く極端なものになってしまいましたが、そういった今までと全く同じような手法による街づくりにお金を出すよりも、そういった革新的なことに集中して投資を行うべきです。

またPark Pflのような制度的な仕組みではどこも同じような店舗や空間になるばかりです。設計者はTaina Springのようなどこにもないような新しい空間を整備することが求められています。

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