MIYASHITA PARK

東京都渋谷区に、商業施設と公園が一体となった、「MIYASHITA PARK」が誕生した。1階から3階までは90もの商業施設施設が入り、屋上には従来の宮下公園を持ち上げ、芝生の広場や、スケート場、ヴォルダリングウォール、また新たにスターバックスといった機能を有している。

建物の特徴は、商業施設と公園全体がアーチ状の緑のカーテンで覆われ、テラスや公園からつたを通って吹く風や緑を感じることができるようになっている。

将来的には屋上の公園全体の空間がつたで覆われ、植物による気化熱や遮光効果により都会のヒートアイランドの抑制、建物のエネルギー低減などの効果がある。まさに渋谷にポッカリと空いた、都市が呼吸するオアシス空間である。

配置図、「三井不動産」ホームページより
芝生広場、将来的に空間全体がつたで覆われる
アーチ状の緑のカーテン
スターバックス
日陰となっている緑の丘で休憩する人たち、まだまだ全体的につたに覆われていないので日陰空間はこの建物の裏だけである
木々も少なく、従来のような公園の過ごし方ができるのかが疑問、あまり立ち止まるような空間がない
日陰がまだ少なく、日光が照りつける、右奥に見えるのが運動施設
スケート場

数少ない都心の公園をどうするか

従来の宮下公園を取り壊し、新たに複合型の公園として建設されたMIYASHITA PARKだか、今回のプロジェクトの課題となるのは、都内にある数少ない従来の公園をいかに取り残し、新たな都市の中の公園としてどのようにしていくかである。

正直、新しくできた今回の公園は従来の宮下公園にあったようなものが多く失われてしまっているように思われる。さらに今回のコロナウイルスのように世界的に蔓延するウイルスに対して、オープンしょっぱなから新たな課題が浮き彫りになっているように思われる。

従来のような公園とは、人々が気軽に訪れ、集まるような場所である。特にウイルスなどが蔓延した都市の公園は、都会の人間が数少ない自然に触れる機会として重要な空間なのである。しかし、まずこの公園を訪れて驚き呆れたのが、従来の気軽に立ち寄れるはずだった公園に入場規制をかけられているということだ。

つまり、この公園はもはや完全にコントロールされ管理された公園ということである。また公園自体へのアプローチも従来のものとは程遠いい。今後もこのような一体型の公園は増えていくと思われるが、では一体、人を集客し、ある程度の回転率を保たなければならない商業施設にとって、公園とは、従来の公園としての機能を果たせるのかということである。

たとえウイルスが流行しなくたとしても、既存の公園を壊してまで、そこにあった都心の貴重な公園環境を保てているのかが疑問である。まるで、商業施設の公園は集客効果を図るためのツールでしかないようにも見えてくる。

今回のMIYASHITA PARKの事例は、既存の公園の建て替えということもあって、残念な事例だったというふうに思える。

公式ウェブサイト

https://www.miyashita-park.tokyo/

コロナで、事前予約または当日券を持った人が入場できる、建物、公園へのアクセスはこの正面だけとなっている
正面の入り口以外からは最入場券の提示が必要
コロナで入場規制をかけている入口、再入場券の提示を求められる。本来の公園の役割とは?

時期的な問題かもしれないが、