Contents
代々木国立競技場
設計者
丹下健三
建築概要
丹下健三さんの代表的な建築作品でもある「代々木国立競技場」は、1960年東京オリンピックの競技会場(「第1体育館」は水泳会場、「第2体育館」はバスケットボール会場)として設計されました。
特に第1体育館の水泳会場は、大きくてひらけた内部空間が要求されました。
そこで丹下さんが取り入れたのは当時では最先端だった、吊り橋の原理を建築に応用した吊り構造です。
2本の塔にロープを垂らして固定し、ロープからさらに広がるように梁屋根を吊り下げ、大空間を実現しています。吊り構造が生み出す綺麗な曲線形状とその構造体は当時の技術では考えられないほど美しいものです。
またこれらの象徴的で建物全体を覆う大きな吊り構造は、室内の明快でわかりやすい導線を実現しています。中央のロープを境に梁屋根をずらすように架けることで、来場者は体育館エントランスから屋根に沿って導かれるように誘導され、されに進むと屋根の視界が一気に開け大空間が出現します。
敷地の中央を貫く「プロムナード」は、選手や関係者の導線交わらないように立体的に計画されています。丹下氏はダイナミックな構造体を生かしたわかりやすい動線を設計することで、来場者に建物への高揚感を与えています。この建物は建築では異例の、当初のオリンピック大会組織委員会から功労章が送られています。
WITH HARAJUKU
設計者
竹中工務店、伊東豊雄
建築概要
2020年原宿駅前にオープンした「WITH HARAJUKU」は、竹中工務店と伊東豊雄氏らの共同設計によるものです。
建物のヴォリュームは周辺環境に配慮して設計され、今まで貧弱だった原宿駅の東口から竹下通りまでの往来を、新たな
原宿駅側の木のグリッドファサードは向かい側の明治神宮と対立しないように低くヴォリュームが抑えられ、目の前のイチョウ並木に溶け込んでいます。1層目から3層目は商業施設、9層目までが集合住宅になっています。
周辺の街に対してこれだけの屋外空間を提供し、かつ低層に抑えられた建築は、これからのコロナ時代における良い手本になることでしょう。
表参道ブランチーズ
設計者
藤本壮介
建築概要
建物は500mm角の構造フレームに植栽が植えられ、建築物本体を成す構造体から植物が生えるその様は、まるで人工物が植物に支配されたかのようです。
通常建築に取り入れられる緑というのは表層的なものになりがちですが、この建築は、建物を決定づける構造体に植物が生えているのが特徴的です。
表参道ヒルズ
設計者
安藤忠雄
設計概要
「同潤会アパート」表参道の緩やかな坂に沿って設計された表参道ヒルズは、その坂の勾配をそのまま建築内部にもたらすことで、地形と一体となった建築です。
実際に内部は吹き抜けの周りに螺旋状のスロープで構成されており、表参道の地形を感じることができます。
ディオール表参道
設計者
SANAA(妹島和世+西沢立衛)
建築概要
「ディオール表参道」は妹島和世さんと西沢立衛さんの建築家ユニット、SANAAによって設計されました。
建物は高さ30mで4フロアを要求されましたが、4層で30mを構成するとなるとそれぞれの天井高が異常に高くなってしまいます。
そこで階高の高い設備室を天井裏に設け、店舗と設備室が交互に積層された建築となっています。
設備室は居室と同じような外観なので、4階建て以上の建築に見えます。
設備室も居室と同じように積層させることで、店舗の断面がそのまま建物の外観として現れるようになり、周辺の表参道に向かって永遠につながりを求めていく店舗になっています。
ルイビトン表参道ビル
設計者
青木淳
建築概要
青木淳さんはご自身の著書、『原っぱと遊園地』の中で、草木などの手入れがなされ遊具が整備され遊び方が最初っから定められた公園(遊園地)より、草木の手入れが放置され自分達で遊び方を編み出し本来の行為とはずれた原っぱのような場を提供する建築の必要性を主張されています。
「ルイビトン表参道ビル」は、向かいの原っぱのような「同潤会アパート」や目の前のケヤキ並木など表参道としての魅力と、ルイビトンのブランドイメージとをいかに両立させるかに焦点が当てられました。
そこで青木さんは、ルイビトンは旅行用トランク専門店発祥であったことに着目し、トランクのような直方体をランダムに積み上げることで、建物のファサードが分割させ、建物を大きく見せたいというルイビトンの要求に答えつつも、表参道のスケールに合ったデザインになっています。
トランクは本来のトランクのように直接積み上げられたのではなく、コンテナの隙間に設けられた構造体によって支えられています。こうすることで天井高さが異なるいくつかのコンテナをランダムに積み上げることができます。
結果遊園地のような、あらかじめそこで行われる行為が定められるようにと均質に設計される商業空間ではなく、その建物が建つ場所から生み出された、スケール感の単位空間によって構成された商業空間の方が、その場所特有の商業行為が生まれ、一層の価値を創出します。
青木さんはその場の本質と建築の関係を考え構築する建築家です。
旧TOD's表参道ビル
設計者
伊東豊雄
建築概要
不規則に斜めに交差するファサードデザインは単なる表層的なものではなく、建物を支える唯一の構造体です。
設計者の伊東豊雄さんは、目の前のケヤキと建物が同化するように、2次元状の木々のシルエットをそのまま建物のエレベーションとして落とし込み、それをL字の6面の建物のファサードデザインとしています。
表参道の建物のファサードデザインは、お店のブランドイメージを表現する一種のキャンバスのようなものですが、多くの建物はそれら表層的なデザインイメージと建物本体との間にギャップが生じがちです。
しかし伊東さんはその表面に着目し、2次元のキャンバス表現である、目の前のケヤキのダイヤグラムをそのまま構造体として採用することで、建築デザインにおける新たな構造体のあり方を提唱されました。
結果、建物6面が一切段差や凹凸のない「つら面」で構成された、他にあまり例を見ない建築です。
BOSS ストア表参道店
Apple Store 表参道
設計者
Bohlin Cywinski Jackson
建築概要
Appleの直営店である「Apple Store 表参道」は、Bohlin Cywinski Jacksonにより設計されました。
屋根は後ろの石壁から12m程キャンチさせ、3面ガラス張りの開放的で表参道と一体となった店舗を実現しています。
屋根は付け根から軒先にかけてだんだん厚みを薄くし、細く見せることで、Appleのシンプルで軽々しいイメージを表現しています。
サニーヒルズ南青山
設計者
隈研吾