出雲に来たら訪れたい建築、伊東豊雄氏設計【大社文化プレイス】を徹底レポート!!

大社文化プレイス基本情報

所在地〒699-0711 島根県出雲市大社町杵築南1338-9
アクセスJR「出雲市駅」より一畑バス「出雲大社(日御碕)」行きに乗車し「吉兆館前バス停」下車、徒歩3分
JR「出雲市駅」より一畑電鉄大社線「出雲大社前」行きに乗車し「出雲大社前駅」下車、徒歩5分
開館時間9:00〜22:00(出雲市立大社図書館は10:00〜19:00)
休館日毎週月曜日(祝日の場合、翌日閉館)、12月29日〜1月3日、(それに加え、出雲市立大社図書館は毎月末日(休館日と重なる時は直前の平日、土・日と重なる時は直後の平日))
HPうらら館:https://www.izumo-zaidan.jp/urarakan/
大社図書館:https://izumolib.icv.ne.jp/library/lib-taisha/

大社文化プレイス

島根県出雲市の、出雲大社から程近いところにある伊東豊雄さん設計の「大社文化プレイス」。今回は「せんだいメディアテーク」の原動力となった作品といっても過言ではない、「大社文化プレイス」の様子をお届けしようと思います。

こちらが大きなホワイエに展示してある模型です。

ご覧の通り、全体が地形が隆起したかのような、曲線を描いた屋根に覆われていることがわかります。

敷地条件はそれほど良くはありませんが、このようにランドスケープ的にデザインされているので、むしろこの敷地でなければいけないような、美しい線形の建物が、周囲の出雲の街並みに溶け込んでいます。

外から連続的に続くホワイエ

まず訪問者を迎え入れるのは、全体を大きく覆う屋根です。

さきほどの模型からもお分かりになられると思います。

都市スケールのまま内外が連続した屋根で覆われる

屋根の高さは全体で6〜8mほどあります。

さらに屋根は中のホワイエ、図書館、ホールへと続きます。

建物全体が都市的なスケールをもった屋根が、連続的に覆われているので、訪問者は外から建物の中に気軽に入っていけることができます。

ホワイエには休憩スペースと、外と一体となったテラスがあります。

続いて、図書館です。

このようにホワイエに、地形を切断したかのようなファサードの図書館が面しています。

すっかりファサード言ってしまいましたが、まさに今私がいるこのホワイエ空間は、あくまで周囲の都市と連続した外部空間であることがわかります。

すなわち内外の”反転”が起きているということです。

今私がいるこのホワイエは図書館から地形的に連続した内部空間でもあり、また周囲の都市を連続的に巻き込んだ、外部空間でもあるのです。

結果的にこの建物は、曲線で連続的に続く2つの異なるボリュームの地形を、同じ面で切断するという単純な建築操作で、見事に内と外の逆転が起きています。

切断と聞くと、まるで外部の環境と断ち切るというような意味合に聞こえますが、そうではなく、連続的な地形や構造物をある箇所で線引きすると、それらがそのまま建物のファサードとして現れるようになり、周辺環境と建築内部が表裏一体の関係を築くことができるようになります。

こちらは図書館に入ってすぐの様子です。

元祖「せんだいメディアテーク」と言えるのではないでしょうか。内部は2本のチューブが貫いています。

チューブの周りには閲覧席が配置されています。

実際に反転が起きる

今回私がここを訪れた際、おそらく伊東さんが望んでいたかのようなことが起きていかと思います。

まず大きなホワイエ空間は、換気のため全ての開口が開けられ、外との空気の入れ替えを行っていました。

ホワイエを”あくまで外部”と読んできましたが、実際に外部として使われていたということです。

これは伊東さんが掲げる、「呼吸したかのような可能な建築」が現に、コロナなどの感染症に一定の効果をあげていることがわかります。

現代建築は機能によってコントロールできるとされてきましたが、自然と常に付き合ってきた日本人建築家の感覚は、このようなところで自然に対する繊細さが現れています。

常に外気との入れ替えを行うホワイエ

最後に決定的でしたのが、子供たちが建物の内外関係なく走りまわっていたということです。

子供たちは屋内を屋内とみなさず、身体的に建築を理解していたということがわかります。

まさに境界のない「呼吸した建築」です。

建物全体で遊ぶ子供たち