基本情報
所在地 | 〒373-0026 群馬県太田市東本町16-30 |
アクセス | 東部「太田駅」より徒歩1分 |
開館時間 | 10:00〜20:00(日曜・祝日は18:00まで) ・企画展室:18:00まで(最終入場は17:30) ・図書エリア:18:00まで |
休館日 | 月曜日(祝日の場合翌日休館)、12月29日〜1月3日 ※図書エリアは毎月最終火曜日休館 開館カレンダー |
HP | https://www.artmuseumlibraryota.jp/ |
太田市美術館・図書館
「太田市美術館・図書館」は平田晃久建築設計事務所の設計により2016年12月に竣工、2017年4月にオープンしました。建物は東武太田駅の目の前にあり、北口駅前広場の移転に伴い更地となった空き地に建てられました。そのため勉強や待ち合わせスペースとしても利用することができます。
建物は地上4階建で、5つの鉄筋コンクリート造の箱とその周りをスロープや階段で構成されたデッキプレートが取り巻いています。図書館以外にも美術館やカフェ、ホールなどが併設された複合施設になっています。休日にはさまざまなイベントも開催されます。
1階
東側のエントランスに入ると、正面は構造体の柱のみ(ピロティ状)のカフェスペース(BOX-C)、右奥の箱(BOX-B)は「展示室1」になっています。
建物のエントランスは北口ロータリーに面した東側とその反対の西側にあり、1階はそのふたつのエントランスを結ぶ通路をメインに、5つの箱の配置が路地のような空間を生み出しています。中でも1階中央の総合インフォメーション付近は三層分の吹き抜けになっており、建物中央にも自然光が降り注ぎます。
先ほどの1階中央吹き抜けに面したBOX-D脇通路を抜けると黒いカーペットが敷かれた図書エリアとなります。ここから先2階にかけてスロープが連続した図書エリアが始まります。
図書スペース(1〜2階)
図書エリアは1階から2階にかけてスロープとなっており、壁には格子状の本棚がたてかけられています。来場者は目的の本に辿り道中で、思わぬ本との出会いが待っています。
建物の外周部を取り巻くガラスサッシはコンクリートボックスからキャンチレバーしたデッキプレートを支え、上部の換気口は建物全体を換気することができます。
BOX-Eのコンクリートボックスの角を曲がると2階へたどり着きます。下写真を奥に進むと3階への階段(「学びの階段」)、中央で右に曲がると2階図書エリアとなります。
2階BOX-A脇スペースには閲覧席が設けられています。椅子は床の傾きに対応するために、おきあがりこぼしの椅子になっています。また机の高さがスロープの傾斜によって異るのも面白い点です。
さらに進むと3階へと続く階段(「学びの道」)があります。階段状に本棚が設けられ、階段に座って本を読むこともできます。
2階図書スペースは床が平坦な開架閲覧エリアとなっています。それぞれの図書機能を併せ持ったコンクリートボックスが街路のように面しています。
コンクリートボックス内は開架書架・男子トイレ(BOX-C)、親子向けの開架閲覧スペース(BOX-D)、書写エリア・女子トイレ(BOX-E)となっています。
3階・テラス
2階図書エリアのBOX-Cを通り抜けると2階テラスへ出る扉があります。テラスに出る3階へと続く階段があります。
上写真テラスの大階段を上たところにある扉に入ると下写真の3階へとつながります。3階は、屋外のテラスもしくは螺旋階段か学びの道(BOX-A脇)階段を経て辿り着くことができます。
下写真の左奥は学びの道階段(BOX-A脇階段)つながります。3階は「視聴覚ホール(BOX-A)」、閲覧ルーム(BOX-B)、屋上庭園(BOX-C)、トイレ(BOX-D)、「展示室3(BOX-E)」となっています。
先ほどの3階吹き抜け脇のスロープを下った扉(下写真奥扉)を出ると3階テラスへと出ます。下写真の植木が植えられている右はBOX-C、左はBOX-Dの屋上庭園になっており、設けられた階段でその上を散策することができます。
ぐちゃぐちゃにからまり合う床
太田市美術館・図書館は5つのコンクリートボックの周りを複雑に絡み合う床が取り巻いています。床はスロープや階段といった1階から3階までを連続し、何層にも重なることで、地形が起伏したような魅力的な空間を生み出しています。またランダムに配置された5つのコンクリートボックスはその外壁によって路地のような隙間を生み、床によって立体的に積み上げられています。床は屋内外関係なく貫くことで渾然一体とした混沌さをつくり出しています。
コンクリートボックスはおおよそ2,800mmや3,000mmといったグリッドを基本として空間を成しており、その身体的スケールに基づいて設計された本棚や家具がぐちゃぐちゃに配置されています。普通整然と単純な空間を好き好んで設計する、大抵の建築家とは逆をいきます。現に曲がったスロープや階段がそのままスラブとして空間を成しており、正直美しいものとは言えません。
しかしこの美しいと言い難いぐちゃぐちゃした混沌さは、ある種アジア的な身体性によるものと言えます。利用者は自分が気に入ったと思った場所で自由に思いのままに過ごすことができます。このアジア的身体性の共鳴により利用者は快適に過ごすことができます。