基本情報

所在地〒153-0051東京都目黒区上目黒1-22-10
アクセス東急東横線、東京メトロ日比谷線「中目黒駅正面口」すぐ
開店時間7:00〜23:00(スターバックスコーヒー)
10:00〜23:00(蔦屋書店)
※コロナウイルスの影響で営業時間が変更の可能性がございます。
休店日なし
ホームページhttps://store.tsite.jp/nakameguro/

中目黒蔦屋書店とは

「中目黒蔦屋書店」はクライン ダイサム アーキテクツの設計により2016年11月にオープンしました。蔦屋書店は、全国にTSUTAYA事業を展開する「カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)」により運営され、スターバックスコーヒーの飲み物とともに店内飲食可能なブックカフェです。「代官山蔦屋書店」を皮切りに徐々に全国展開しています。

中目黒駅の隣、代官山駅から徒歩5分の場所にある「T-SITE代官山蔦屋書店」 代官山蔦屋書店を皮切りに徐々に全国展開をみせている

蔦屋書店の面白い点は、今まで飲食が禁止されていた書店を逆手に取り、コーヒーを片手に本を読みながらくつろげるブックカフェになっています。立ち読みがタブーとされてきた本屋ですが、むしろ長居できる空間を提供することで、用がない人でも気軽に立ち寄ることができ、目的の本を買い求める人以外の集客効果を果たしています。

高架下の中目黒蔦屋書店

中目黒蔦屋書店は、東急東横線の中目黒から祐天寺駅間の約700mにわたる高架下開発、「中目黒高架下」プロジェクトのもと、さまざまなレストランやカフェが並ぶ一画にオープンしました。特に蔦屋書店は、中目黒駅正面口と山手通り横断歩道を挟んだ向かい側にあり、改札口出ると高架屋根により濡れずにアクセスすることができます。

中目黒駅正面口を出てすぐの山手通り横断歩道を渡った先にある蔦屋書店

土木とインテリアの同居

この建築の特筆すべき点は、その高架下という立地を最大限に生かした空間設計にあります。建物は3棟の分棟からなり、本をお会計するにはいったん外に出なければなりません。商品なので躊躇してしまいそうですが、高架下に生まれた建物との隙間は、まるで奥まっていく路地のように、訪れた人の好奇心をそそり中の方に吸い込んでいきます。

高架下と建物の隙間によって生み出された路地のような半屋外空間

高架下全体をひとつの建物ボリュームで占有するのではなく、建物を分棟にして周囲の街に対して隙間を生み出すことで、高架下店舗の表情がそのまま街の風景として表出しています。それはまるで高架下がひとつの大きな屋根を共有しているかのように、店内と街が一体となった空間を生み出しています。

高架下の建物との隙間に設けられたテラス席 周囲の街に対して豊かな表情を生み出す

店内の面積は決して広くはなく、全国の蔦屋書店の中で最も小さな店舗になっています。所狭しと並んぶ本棚とくつろげるカウンターやテーブル席が同居しており、まるで家のリビングでくつろいでいるような落ち着いた空間になっています。

しかしそんな小さな店内には、上を走る鉄道高架を貫支えする柱が何ヶ所かに現れます。店内でくつろいでいると思いきや、その上には都市を支える交通インフラが走っているのです。また目の前には「山手通り」が通っていたり、雑多な居酒屋街が広がっており、そこはリビングでもありながら都市の要所でもあるのです。

店舗の上を走る鉄道

そうした店内には電車や車、通りすがりの人々の声など都市の音が鳴り響き、ヒューマンスケールと土木が同居した不思議な空間になっています。家具や本棚の寸法は小さく設計されていますが、ガラス1枚を隔てて外には都心の雑多な風景が広がっています。そうした店内と屋外のギャップがより、室内を都市の中の小さな空間として仕立て上げられ、街の気配を感じながらも読書に集中することができます。

小さな什器、家具、建具の設計の中に街の雑多な風景・音が同居する

高架下というハンディな敷地条件ですが、店舗を分棟に配し、街から緩やかに訪問者を引き込むことで、店内の小さな家具や建具の設計を違和感なく可能とし、ガラス1枚で店内外を隔てることで、気づけばそこには街の風景やBGMが同居しているという魅力的な空間を実現しています。

店内と土木の同居