金沢で訪れるべき建築!【谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館】を徹底レポート!谷口吉生設計

金沢市内の建築は下の記事をご覧ください!

基本情報

所在地〒921-8033 石川県金沢市寺町5-1-18
アクセス城下まち周遊バス、北陸鉄道バス「広小路バス停」、金沢ふらっとバス長町ルート「野町広小路バス停」下車
開館時間9:30〜17:00(最終入館は16:30まで)
休館日一般:310円、65歳以上または障がい者手帳をお持ちの方およびその介護人:210円、高校生以下:無料、祝日:無料
入館料毎週月曜日(祝日の場合翌日休館)、12月29日〜1月3日、展示資料整理期間
HPhttps://www.kanazawa-museum.jp/architecture/

ラウンジ

「谷口吉郎・吉生記念 建築館」は谷口吉生氏の設計により2019年に竣工しました。吉生氏の父、吉郎氏の住宅跡地に建てられ、吉郎氏が設計した迎賓館赤坂離宮和風別館の「游心亭」の広間と茶室を再現した常設展示室と、企画展示室からなります。

建物は犀川南岸の高台にあり、目の前の加賀藩三代藩主、前田利常の城下町づくりによりる寺町通りは多くの寺院が立ち並び、国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定された歴史的な街並みです。

寺町通りと低く抑えられた庇

建物に入ると天井高7.4mの解放的なラウンジが来場者を出迎ええます。鉄骨造のラウンジは周辺の街並みに合わせて開口は低く抑えられ、軒下空間は視覚的に屋内外を連続させます。

天井高7,410mmのラウンジ、手前にショップと奥にカフェ

アルミパイプのルーバーによって強い西日を遮り、柔らかな自然光がラウンジ内に充満しています。

ラウンジのエントランス側を見渡す、奥にはチケットカウンター

ホール・企画展示室

チケットカウンター横の入口を入るとホールがあります。ホールは地下の企画展示室と2階の常設展示室を視覚的につないでいます。

ラウンジから地下の「企画展示室1」と2階「常設展示室1」を見通せる

鉄骨造のラウンジに対して展示室は鉄筋コンクリート造になっています。

ホールからラウンジ越しに寺町通りを垣間見る、スリッド状のトップライトが壁を照らす
企画展示室とホールの階段

常設展示室2

「常設展示室2」は吉郎氏が設計した迎賓館赤坂離宮和風別館「游心亭」の広間を再現した空間になっています。

高台にある展示室は、水面に写された樹木と空が連続した広がりの先に犀川と金沢の街並みが眺望できます。

游心亭広間と水面
水面に反射した樹木と空の広がりが犀川と金沢の街並みに限りなく溶け込む

再びラウンジへ

全ての展示室を巡り終えると再びラウンジに戻ります。

これは吉生氏がよく取り入れる手法で、全ての展示室を見終わると最初の解放的な空間を見渡すように戻ってきます。1回目の巨大な空間体験はこれから巡り回る展示室に期待をよせ、全て観覧し再び戻ってきた来場者は、今まで自分がたどってきた空間体験が頭の中で完結し、全て回りきった満足感とともに帰ることができます。

また巨大な空間に低く抑えられた開口は、日本的で屋外との連続的な繋がりを保ちつつも、これから巡る展示室へ来場者を建物に対して内向きにさせます。

鉄筋コンクリート造で設計された展示室の前室として、鉄骨造の解放的な巨大空間は、屋外からやってきた来場者を高揚させるための装置として、屋外とつながりを保ちつつも屋内である展示室とを緩やかにつなげるクッション的なスペースであると言えます。

東京都にある同氏設計の「東京国立博物館法隆寺宝物館」も展示室の"前室"として鉄骨造の巨大な空間が屋外と内部空間のクッションを果たす