「豊島美術館」をご紹介します。美術・建築・自然が融合する名建築! 西沢立衛建築設計事務所

美術館への詳しいアクセス方法についてもご案内しております。

「直島」と「豊島」の建築一覧は下の記事をご覧ください。

豊島美術館基本情報

所在地〒761-4662 香川県小豆郡土庄町豊島唐櫃607
開館時間10:00〜17:00(3月1日 〜 10月31日)、10:00〜16:00(11月1日 〜 2月末日)
※最終入館は閉館時間の30分前
閉館日火曜日(3月1日〜11月30日)、火曜日〜木曜日(12月1日〜2月末日)
※祝日の場合は開館、翌日休館
※月曜日が祝日の場合は、火曜日開館、翌水曜日休館
入館料1570円(15歳以下無料)
アクセス「宇野港」から小豆島豊島フェリー(約1時間、往復大人1,050円、小人530円、電子マネーの利用不可)で「唐檀港」下船し、「豊島美術館」まで徒歩20分
ホームページhttp://benesse-artsite.jp/art/teshima-artmuseum.html

豊島と美術館

瀬戸内海浮かぶ「豊島」は、例年日本国内のみならず世界各地から多くの人が訪れます。豊島の魅力は島本来の人や自然の営みが行われる中で、島全体が美術館のように、数多くのアート作品が島中に点在していることです。

豊島の豊かな自然と民家

豊島美術館は西沢立衛氏の設計により、2010年に竣工しました。美術館の唯一の展示室は44m×60mの平面に高さ4.6mの白いコンクリートシェル空間になっており、シェルに2箇所空けられた大きな孔により、展示室は屋外吹きさらしとなっています。

出典:豊島美術館ハンドブック 展示室を成す巨大なコンクリートシェルには2箇所孔が空けられる

豊島に行くには本州の「宇野港」からフェリーで1時間かかりますが、美術館は最寄りの港から歩いて20分ほどの場所にあります。決して気軽に訪れられるような美術館ではありませんが、それでも例年15万人訪れる観光客の内、半数以上が外国人となっています。

大自然の中の豊島美術館

実は豊島美術館のアート体験は、その道中から既に始まっているのです。

最寄りのバス停を降りると道の先に海が広がる

美術館へのアプローチ

訪問者はチケット売り場でチケット購入後、展示室に続く細長いアプローチを歩きます。この長いアプローチは、訪問者はこれまでの美術館までの長い道のりから目を背けさせ、自分の身体感覚を豊島の大自然の中に委ねさせます。

地形に埋もれたチケット売り場
チケットカウンターから続く道

そして、しばらく道を進むと生茂った木々の中から、太陽の光を十分に反射させた真っ白なシェルが出現します。美術館の入り口は巨大なコンクリートシェルとは対照的に高さ1.5mと狭く、入るには靴を脱がなければなりません。この狭く、面倒な行為は来場者をシェル内の空間に対して内向けにさせます。

白い巨大なシェルが出現し、入るには靴を脱ぐ

室内なのに屋外、懐かしさがこみ上げてくる

狭い展示室のエントランスは進むにつれだんだんと広く、高くなりその先には、無柱の巨大な真っ白なコンクリート空間が広がっています。靴を脱いで狭い入口を経てやってきた来場者は室内で過ごしているような感覚ですが、大きなシェル空間には2つの孔があり、そこからは風、光、音、におい、時には雨が降り注ぎます。床には水滴が散りばめられており、やがて水滴は一箇所に集まります。

穴から出現した水滴はやがていくつかの集合になる、「豊島美術館ハンドブック」より

まるで室内にいるのに気づけば屋外にさらされているという不思議な感覚に陥ります。

コンクリートシェル内の空間は屋根と床のつなぎ目部分の狭い場所と、中央の屋根が最も高い場所など、さまざまな身体的スケールが混在しており、場所によって寝転んだり座ったり歩いたりなど過ごし方は様々です。しかし寛いでいるのも束の間、その人々を包む連続したコンクリートの一部は外気にさらされおり、気づくとそこは完全な吹きさらしの空間になっています。ですがそれが当たり前かのように、ずっとそこを離れず孔の向こう側にある木々を見つめてしまいます。それは普段の日常とは全くかけ離れたこの場所で、本来の自然との距離が近かったであろうあの頃の懐かしさを感じずにはいられないからなのでしょうか。

出典:豊島美術館ハンドブック シェル内部は高いところと低いところ、外部にさらされているところなど一室に様々な空間が存在する

アートと建築の融合

巨大な一室の床にはいくつかの水滴が散りばめられています。微妙な地形の流れに沿って水滴が穴から出現し、やがて一箇所に集められます。

穴から出現する水滴、「豊島美術館ハンドブック」より

もともと水滴には形が備わっていませんので、建築の地形に付随した形で初めてかたちが与えられます。つまりここでのアートは、建築があって初めてアート存在するという、アートが建築に依存するようなかたちでそれらに境界はないのです。

水滴は、地形に沿ってできた建築によって初めて形が与えられる、アートと建築が互いに掛け替えのない存在であることがわかる「豊島美術館ハンドブック」より

ラウンジ棟

美術館を出るともうひとつ小さなシェルがあります。「ラウンジ棟」と呼ばれるこのシェルには、お土産ショップとカフェが入っています。

ラウンジ棟内部

アクセス

JR岡山駅から宇野港(本州)

「JR岡山」駅から「JR宇野」駅まで、〈JR宇野線〉で50分
JR宇野駅から宇野港まで徒歩で3分

宇野港(本州)から宮浦港・唐檀港(豊島)

「宇野港」から「唐檀港」まで、〈小豆島豊島フェリー(宇野港-家浦港(豊島)-唐檀港(豊島)-土圧(小豆島))〉で約1時間(運賃:往復大人1,050円、小人530円、電子マネーの利用不可(現金のみ))
詳しくはhttps://teshima-navi.jp/access/

「豊島観光ナビ」より

宮浦港(直島)から宮浦港(豊島)

宮浦港(直島)から宮浦港(豊島)まで、〈四国汽船〉で22分(運賃:往復大人630円、小人320円、支払いは電子マネーの利用不可(現金のみ))
詳しくはhttps://teshima-navi.jp/access/

「豊島観光ナビ」より

高松/本村(直島)から豊島

時期や曜日によってフェリーの運行が異なるため、ホームページを参照してください。
https://teshima-navi.jp/access/

唐檀港から豊島美術館

「唐檀港」から「豊島美術館」まで、徒歩で20分(他の作品も訪れる場合は、島内をレンタサイクリングするのが便利)、もしくはバス(唐檀港-宮浦港)で途中の「豊島美術館前」バス停下車、そこから徒歩1分(運賃:大人200円、小人100円)
詳しくはhttps://teshima-navi.jp/access/

「豊島観光ナビ」より

宮浦港から豊島美術館

「宮浦港」から「豊島美術館」まで、バス(宮浦港-唐檀港)で途中の「豊島美術館前」バス停下車、そこから徒歩1分(運賃:大人200円、小人100円)
詳しくはhttps://teshima-navi.jp/access/

「豊島観光ナビ」より